一条工務店の情報コンセントを現役エンジニアが徹底解説
「LAN配線なんてWi-Fiがあるから要らないでしょ?」と思っていませんか?
一条工務店で家を建てるなら、その考えは危険です。全館床暖房のアルミパネルがWi-Fiの電波をほぼ遮断してしまうため、有線LANの土台がむしろ重要になります。
この記事では、一条工務店の情報コンセント(LAN配線)について、Cat6Aの性能から具体的な配置場所、費用シミュレーションまで詳しく解説します。
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結論: Cat6Aにするだけで十分。空配管は不要
先に結論をまとめます。
- Cat6Aへの変更は必須(約1万円/箇所)
- 各階に最低1つはLANコンセントを設置する
- 情報ボックスは家の中心に配置する
- 空配管は予算に余裕があれば。Cat7やCat8は不要
合計7〜8万円で、10年後も後悔しないネットワーク環境が手に入ります。以下、詳しく見ていきましょう。
一条工務店のLAN配線の仕組み
一条工務店には「情報ボックス」という仕組みがあります。ルーターやONU(光回線の終端装置)をまとめて収納するボックスで、1箇所が標準で付いてきます。
情報ボックスから各部屋にLANケーブルが伸びていて、その差し込み口が「情報コンセント」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 情報ボックス | ネットワーク機器を集約。1箇所が標準サービス |
| 情報コンセント | 各部屋のLAN差し込み口。2箇所まで無料 |
| 追加費用 | 3箇所目以降は8,250円〜14,300円/箇所 |
情報ボックスの中にはコンセントが4口あり、ONU・ルーター・ハブなどを接続できます。
Cat5eとCat6Aの違い
ここが最も重要なポイントです。
| Cat5e(標準) | Cat6A(オプション) | |
|---|---|---|
| 最大速度 | 1Gbps | 10Gbps |
| 費用 | 標準(追加費用なし) | +9,790円/箇所 |
| 将来性 | 10Gbps回線に対応できない | 15〜20年は十分 |
一条工務店の標準はCat5eで最大1Gbps。オプションでCat6Aに変更すると10Gbps、つまり10倍の速度になります。1箇所あたりプラス9,790円で、意外とお手頃です。
なぜCat5eのままだとマズいのか
10Gbps回線が急速に普及中
10Gbpsの光回線は2025年に契約者が111万件を突破し、2028年には400万件を超える見込みです。まさに転換期にあたります。
せっかく10Gbpsの回線を契約しても、壁の中のケーブルがCat5eだと1Gbpsで頭打ち。回線の性能をまったく活かせません。
後から交換すると費用が跳ね上がる
壁の中のケーブルは後からの交換が非常に大変です。
| タイミング | 費用の目安 |
|---|---|
| 新築時にCat6Aへ変更 | 約1万円/箇所 |
| 後から業者に依頼して交換 | 5万円以上/箇所 |
新築時なら5分の1以下のコストで済みます。Cat6Aへの変更は新築時に必ずやっておきましょう。
一条工務店の床暖房がWi-Fiを遮断する
一条工務店で家を建てる人に絶対知っておいてほしい事実があります。
全館床暖房のアルミパネルが、Wi-Fiの電波をほぼ遮断します。さらに2x6工法の分厚い壁も電波を減衰させるため、1階にルーターを置くと2階でWi-Fiがまともに使えないという声が非常に多いです。
実際に「パッケージに3階建て対応と書いてあるルーターなのに、2階建ての一条の家で1階にまったく届かなかった」というブログもあるほどです。
解決策: 有線LANバックホール + メッシュWi-Fi
各階に有線LANのコンセントを設置して、メッシュWi-Fiのアクセスポイントを有線で接続するのがベストです。
有線で繋いだメッシュWi-Fiなら、アルミパネルの影響を受けずに家中どこでも安定した通信ができます。
「Wi-Fiがあるから有線LANは要らない」と思いがちですが、一条工務店ではむしろ逆。有線LANの土台がとても重要です。
Cat6Aの10Gbpsはどれくらいスゴいのか
実際にどれくらいの余裕があるのか、デバイスごとの通信量を見てみましょう。
| 用途 | 通信量の目安 |
|---|---|
| 4K Netflix | 25Mbps |
| 8K YouTube | 100Mbps |
| VR PCストリーミング | 300Mbps |
| オンラインゲーム(Apex等) | 5〜10Mbps |
| Zoom / ビデオ会議 | 10Mbps |
| スマホ(SNS・Web閲覧) | 10Mbps |
| スマート家電 | 1Mbps以下 |
意外なのがオンラインゲーム。Apex Legendsでもたった5〜10Mbpsです。ゲームの通信はキャラクターの座標情報などだけで、映像はPC側のGPUが描画しているため、通信量は極めて少ないのです。
ありえないくらい盛っても余裕
8Kテレビ2台、4Kテレビ4台、VRヘッドセット2台、ゲーム2台、Zoom 2台、スマホ6台、スマート家電20台、大容量ダウンロード2台…合計40台。
これだけ盛りに盛っても合計2,010Mbps。Cat6Aの10Gbpsのたった20%です。まだ5倍の余裕があります。一般家庭でCat6Aの帯域を使い切ることはまず不可能です。
ゲーマーの方へ: LANケーブルを良くしてもゲームは速くならない
LANケーブルのカテゴリを上げればゲームが速くなると思っている方、ここが大事です。
ゲームで重要なのはpingであって通信速度ではない
| 指標 | 意味 | ゲームへの影響 |
|---|---|---|
| 通信速度(Mbps) | 一度に運べるデータ量 | ほぼ関係ない |
| ping(ms) | サーバーとの往復時間 | 直結する |
Apex Legendsで20msと50msだと撃ち合いで体感的に差が出ます。100msを超えると明確にストレスを感じます。
ケーブルのカテゴリはpingに影響しない
Cat5eもCat6Aも、電気信号が伝わる速度は同じです。家庭内の30m程度では、カテゴリの違いによるpingの差は測定すらできないレベルです。
本当に差が出るのは有線か無線かの違いです。
| 接続方式 | ping | 安定性 |
|---|---|---|
| 有線LAN | 1〜5ms | 安定 |
| Wi-Fi | 10〜50ms | ジッター(揺れ)あり |
FPSをやるなら、ケーブルの種類より「ゲーミングPCに有線LANを引くこと」が一番大事。あとはプロバイダ選びと、ゲーム優先設定ができるルーターが効果的です。
ちなみにCat8のゲーミングケーブルなども売られていますが、あれはマーケティング。Cat6Aで十分です。
空配管はどうする?
空配管は、壁の中に空のパイプを通しておいて、将来ケーブルを入れ替えられるようにするオプションです。一条工務店だとCD管22mmで約7,000円、28mmで約8,000円。
Cat6Aにしておけば空配管は必須ではない
空配管が不要と考える理由は3つあります。
- Cat6Aの10Gbpsが家庭で不足するのは15〜20年先
- Cat7やCat8は家庭用コネクタ(RJ45)と非互換。Cat8は30mの距離制限もあり住宅配線に向かない
- 10Gbpsを超える速度が必要になる頃には光ファイバーに移行する時代が来る。LANケーブルを入れ替えること自体に意味がなくなる
つまり、空配管でケーブルを入れ替えても劇的な改善は見込めない可能性が高いのです。
ただし「保険」としてはアリ
空配管は数千円で入れられるので、予算に余裕があれば保険として入れておくのも悪くありません。LANだけでなく光ファイバーやHDMIケーブルにも使えますし、壁内の配管は新築のときにしかできません。
知って得する一条Tips
情報ボックスから直接LANを引ける
情報ボックスは壁の上の方(天井付近)に設置されます。底面がプラスチック製なので、穴を開けて直接LANケーブルを引き出せます。
つまり情報ボックスがある部屋なら、情報コンセントを付けなくてもPCに直接繋げます。その分の予算を別の部屋に回せるので覚えておきましょう。
情報ボックスの注意点
- 大型のゲーミングルーターだと入らない場合がある
- 密閉されたボックス内でルーターを動かし続けると熱がこもり、動作が不安定になることがある。蓋を少し開けておくか、小型で発熱の少ない機種を選ぶのがおすすめ
壁のLANコンセントを長持ちさせるコツ
壁のLANコンセント(RJ45ジャック)の耐久回数は約200回。意外と少ないです。壊れると修理に5,000〜10,000円+出張費がかかります。
対策はシンプルで、壁のLANコンセントにスイッチングハブを1台つないで挿しっぱなしにします。ハブから先で抜き差しすれば壁のコンセントは傷みませんし、ハブが壊れても数千円で買い替えられます。
おすすめの配置場所と費用シミュレーション
2階建て4LDKの場合、おすすめは以下の5箇所です。
| 場所 | 用途 |
|---|---|
| リビングのテレビ裏 | テレビ・ゲーム機の有線接続 |
| 書斎 | PC・仕事用 |
| 2階ホール | メッシュWi-Fiの子機を有線接続(最重要) |
| 子ども部屋 | 将来のPC・ゲーム用 |
| 主寝室 | テレビ・PC用 |
特に2階ホールが重要です。ここにメッシュWi-Fiの子機を有線で繋げば、2階全体にWi-Fiが行き渡ります。
費用シミュレーション
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 標準2箇所 | 0円 |
| 追加3箇所(8,250円 x 3) | 24,750円 |
| Cat6Aへの変更(9,790円 x 5) | 48,950円 |
| 合計 | 約73,700円 |
約7.4万円で家中のネットワーク環境が整います。後から業者に頼むと25万円以上かかることを考えれば、新築時にやっておくのが圧倒的にお得です。
まとめ: 新築時にやるべきことチェックリスト
| 優先度 | やること | 費用目安 |
|---|---|---|
| 必須 | 全箇所をCat6Aに変更 | 約1万円/箇所 |
| 必須 | 各階に最低1つLANコンセント設置 | 8,250〜14,300円/箇所 |
| 必須 | 情報ボックスを家の中心に配置 | 0円(設計時の判断) |
| 任意 | 空配管(保険として) | 7,000〜8,000円/箇所 |
| 不要 | Cat7 / Cat8ケーブル | - |
新築のときにしかできないことなので、設計の段階で忘れずに伝えましょう。たった7万円台の投資で、10年後も後悔しないネットワーク環境が手に入ります。