一条工務店のエアコンは安い機種でいい?一条特有の選び方を解説
一条工務店でRAYエアコンをやめて市販品を入れるとき、「一番安い機種で差額を浮かせればいい」と思っていませんか?
実はそれ、高断熱住宅ならではの落とし穴があります。この記事では、一条工務店のグランスマートで家を建てる過程で調べたエアコン選びのポイントと、最終的にダイキンAXを選んだ理由を解説します。
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結論:安い機種でいいとは限らない
先に結論をお伝えすると、一条工務店のような高断熱住宅では「安い機種」を選ぶと夏にジメジメして後悔する可能性があります。
重要なのは以下の3点です。
- 高断熱の家は「弱く動き続けられるか」が最重要
- 再熱除湿は梅雨を乗り切るための必須機能
- 約8万円の差額は5年半で回収できる
一条のエアコン選びが特殊な3つの理由
一条工務店の家は、普通の家とエアコンの選び方がまったく異なります。
1. 冬はエアコンを使わない
一条の家には全館床暖房があるので、冬にエアコンは不要です。つまりエアコンは「夏の冷房・除湿専用機」として選べます。暖房能力を気にする必要がなく、冷房と除湿の性能だけに集中できます。
2. カタログの畳数表示は当てにならない
家電量販店の畳数表示は、断熱性能が低い古い家が基準です。グランスマートのような高断熱住宅(UA値0.25)では、20畳のLDKでも10畳用で十分すぎるくらいの能力があります。
むしろ大きすぎるエアコンを入れると、次に説明する「サーモオフ問題」が起きやすくなります。
3. サーモオフが最大の敵
高断熱住宅で一番怖いのが、このサーモオフ問題です。
安い機種の落とし穴「サーモオフ問題」
サーモオフとは何か、順を追って説明します。
- エアコンが部屋を冷やす
- 高断熱なのであっという間に設定温度に到達
- エアコンが「仕事終わり」と判断してコンプレッサーを停止
- コンプレッサーが止まると除湿も一緒に止まる
- 湿度がどんどん上がり、室温は涼しいのにジメジメする
このサイクルが繰り返されて湿度が乱高下し、カビやダニのリスクも上がります。
弱冷房除湿 vs 再熱除湿
ここで重要になるのが除湿の方式です。
| 弱冷房除湿 | 再熱除湿 | |
|---|---|---|
| 仕組み | 冷やした空気をそのまま戻す | 冷やして除湿した後、温め直して戻す |
| 室温への影響 | 下がりすぎる | 維持できる |
| サーモオフ | 起きやすい | 起きにくい |
| 搭載機種 | 安い機種にも搭載 | 中〜上位機種のみ |
安い機種に搭載されている弱冷房除湿は、冷やした空気をそのまま部屋に戻すだけなので、高断熱の家だと室温が下がりすぎてサーモオフが発生します。
一方、再熱除湿は空気を冷やして水分を取った後、温め直してから部屋に戻します。室温を下げずに除湿だけを続けられるので、特に気温がそこまで高くないのに湿度だけ高い梅雨の時期には必須の機能です。
エアコン選びで見るべき3つの数字
一条の家でエアコンを選ぶとき、チェックすべき数字は次の3つです。
1. 最低能力・最低消費電力
エアコンが「どれだけ弱く動き続けられるか」を示す数字です。高断熱の家では、強いパワーより弱く安定して動ける方がずっと大事です。弱く動き続けられるエアコンならサーモオフしにくくなります。
2. 再熱除湿の方式
温度を下げずに除湿できるかどうか。メーカーによって手動で温度・湿度を設定できるものと、自動制御で切り替えるものがあります。
3. 定格COP
エネルギー効率を示す数字で、1の電気で何倍の冷房能力を出せるかを表しています。一条の家では24時間つけっぱなしが基本なので、この数字が電気代に直結します。
高断熱の家は一度冷やせば温度が上がりにくいため、つけっぱなしが一番効率的です。
候補機種をざっくり比較
実際に検討した4つの選択肢を比較します。
| 機種 | 価格帯 | 再熱除湿 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 三菱 GV(最安モデル) | 約68,000円 | なし | とにかく安いが、サーモオフしやすい |
| 日立 白くまくんX | 20〜27万円 | あり(カラッと除湿) | 温度・湿度を手動で細かく設定可能。全館冷房派に一番人気 |
| 三菱 霧ヶ峰Z / JXV | 20〜28万円 | あり | F式全館冷房の王道。省エネ性能トップクラス |
| ダイキン AX | 148,500円 | あり(さらら除湿) | 低負荷安定性と自動制御が優秀 |
一条施主の間では日立の白くまくんXと三菱の霧ヶ峰が定番ですが、最終的に選んだのはダイキンAXでした。
ダイキンAXを選んだ理由
ダイキンAX 10畳用(S286ATAS)の主なスペックはこちらです。
- 価格:148,500円(最安モデルとの差額は約8万円)
- 最低消費電力:70W(電球1個分の超微弱パワー)
- 最低能力:200W
- 定格COP:5.10
- 再熱除湿:さらら除湿(リニアハイブリッド方式)
超微弱運転でサーモオフしにくい
最低消費電力がたったの70Wなので、グランスマートのような高断熱の家でもサーモオフしにくいのが最大の利点です。冷やしすぎず、除湿し続けることができます。
さらら除湿の自動制御
ダイキンAXのさらら除湿は「リニアハイブリッド方式」で、弱冷房除湿と再熱除湿を状況に応じて自動で切り替えてくれます。
普通の弱冷房除湿は12度くらいの冷風が出ますが、さらら除湿は約25度、ほぼ室温と同じ温度の風が出ます。寒くならずに除湿できるのがポイントです。
ドライキープ機能
サーモオフしたときに送風を完全に止めてくれる「ドライキープ」機能も搭載されています。普通のエアコンはサーモオフ時も送風だけ続けるのですが、その風が熱交換器に残った水滴を部屋に戻してしまいます。ドライキープは風を止めることで湿度戻りを防ぎます。
日立・三菱ではなくダイキンにした理由
日立の白くまくんは温度と湿度を手動で細かく追い込めるのが魅力ですし、三菱の霧ヶ峰は省エネ性能がトップクラスで、どちらも良いエアコンです。
ただ、共働きで細かい設定を毎日いじる余裕がないので、「手動で追い込む」よりも「自動でそこそこ快適に保ってくれる」方が合っていると判断しました。定格COP 5.10で効率もトップクラス、低負荷安定性も優れていて、総合力で選びました。
コスト回収シミュレーション
「8万円も高いのは…」と思うかもしれませんが、長期で見ると話が変わります。
年間電気代の比較
試算条件:電気代31円/kWh、4〜10月の214日間、24時間運転
| ダイキン AX | 最安モデル | |
|---|---|---|
| 年間電気代 | 約11,000円 | 約25,000円 |
年間で約14,000円の差が出ます。AXは最低70Wで安定運転できるので電気代が安く、最安モデルはサーモオフと再起動を繰り返す分、平均の消費電力が上がります。
長期コスト回収の見通し
| 経過年数 | 累計の損益 |
|---|---|
| 1年目 | -66,740円 |
| 5.6年目 | 0円(損益分岐点) |
| 10年目 | +62,000円 |
| 20年目 | +206,000円 |
約5年半で8万円の差額を回収でき、エアコンの寿命(10〜15年)を考えると十分元が取れる計算です。
太陽光パネルと蓄電池を導入している場合は、AXの省エネ分がそのまま売電収入に繋がります。夜間も70Wなら蓄電池の持ちも全然違ってきます。
タイプ別おすすめの選び方
エアコン選びに唯一の正解はありません。自分の優先事項で決めるのが一番です。
- 湿度を数値で細かく追い込みたい人 → 日立 白くまくんX
- F式全館冷房をガチでやりたい人 → 三菱 霧ヶ峰Z
- 一条の設定品で済ませたい人 → 三菱 霧ヶ峰JXV
- 手間をかけずに自動で快適に保ちたい人 → ダイキン AX
- とにかく初期費用を抑えたい人 → 最安モデル(ただしサーモオフに注意)
我が家の場合は「手間をかけずに自動で快適に保ちたい」が優先順位の一番上だったので、低負荷安定性と効率の良さを決め手にダイキンAXを選びました。
まとめ
一条工務店のような高断熱住宅では、エアコン選びの常識が普通の家とは異なります。
- 冬は床暖房があるので、エアコンは夏専用で選べる
- カタログの畳数表示は当てにならない(20畳のLDKでも10畳用で十分)
- 安い機種だとサーモオフで夏にジメジメしやすい
- 再熱除湿は梅雨を乗り切るための必須機能
- 見るべき数字は「最低消費電力」「再熱除湿の方式」「定格COP」
- 8万円の差額は年間14,000円の電気代節約で約5年半で回収可能
正直なところ、まだ夏を過ごしていないので実際の使用感はわかりません。ただ、数値を見て考え抜いた結果なので自信はあります。夏を過ごしてみてのレビューもいずれ記事にする予定です。
エアコン選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。